これからアルパインボード(アルペンボード)を始めようと考えている方にお伝えしたいこと。

24/25シーズンから用具一式を揃えてアルパインボードを始めた。やってみたい!と思ってから10年以上経過していた。

そろそろシーズンも終盤、今シーズンの中で得られた知見を、これからアルパインボードを始めてみたい!と思っている方に届けたいと思う。

抑えておくべきポイント

先に抑えておくべきポイントだけお伝えしたい。

  • バインディングは絶対に前足55度~60度、後ろ足は50度~55度の範囲でセッティングする
  • バインディングのリフトアップは必ずセッティングしておく
  • ブーツは必ず隙間なくきっちり足、足首、スネをホールドするように調整する
  • できればブーツ購入時に別売りのインソールをいれておくことを強く推奨

いまは理解できなくても、そのうち思い出したときに戻ってきてまた読んでほしい。

スキー・スノーボード

始めにスキー・スノーボード歴をお伝えしておく。

  • スキーは小学生~高校生のころ、父親に連れられて1年に1回~2年に1回ほど
  • 社会人になってからのスキーは年3回程度
  • その後ファンスキーに転向して年3回程度を20代前半まで
  • スノーボードはフリースタイルボードを20歳ごろに付き合いで始め、年2回ほど
  • その後、まったくいかないシーズンなどを含めて20年ほど
  • 滑走日数でいったら20日~30日程度かもしれない

必要な用具

最低限、これがあれば始められるという用具について。

板、バインディング、ブーツは当たり前として、リーシュコードとヘルメットは絶対に着用すること。

慣れないアルパインボードは転倒することが多く、その際、思いっきり頭を強打する。自分も何度か後頭部を強打した。またリーシュコードについて不要だという意見も見かけるが、たまにフリースタイルボードを手から離して流しているスノーボーダーを見かけたので、必ず着用したほうが良い。

用具の揃え方

アルパインボードはフリースタイルボードと違って流通量が少ないため、店頭での販売価格が高い。価格面については覚悟を決めるしかないだろう。自分は板、バインディング、ブーツで総額25万円した。

また取扱店舗が少なく、量販店で探すのは難しいかもしれない。雪国またはそこに近い個人経営のスノーボードショップでは取り扱っていることがあるので、ネットで検索してお店を見つけ、勇気を出して訪れることを強くお勧めする。

インターネットの通販やフリマサービスを利用して手に入れる方法もあるが、未経験だと選び方が分からなくてハードルが高いと思うので、価格が高くてもショップで一緒に選んでもらうほうがいいだろう。

2025/4/30 追記: 机の片づけをしていたらJSBAから届いていた「JSBA YEARBOOK 2024」がいろんな書類に埋もれているのを見つけ、これが公式の用品ガイドブックだった。知らなかったメーカーもいくつかあったので用具メーカー一覧に追記しておく。

平均的な成人男性の場合、160cm前後の板をおすすめされると思う。自分は172cm65kgでOGASAKA SNOWBOARDSのAX、161cmを提案されてそれに決めた。価格は約11万円。

以下に(知っている範囲での)アルパインボードメーカーをあげておくので参考にしてほしい。

価格と手に取りやすい環境があるという点を考慮したお求めやすさでいうと

  • OGASAKA AX
  • ALC RまたはR-M
  • AMICSS DMT
  • gray FORCE
  • Black Pearl BP4-04
  • BC Stream CURVE

このあたりだろうか。

バインディング

好きなものでいいと思う。自分はDEELUXE DLX INTEC CONNECTORというステップイン形式のバインディングを選択した。このモデルはDLX CONNECTORという普通のバインディングもあるので、ステップインは苦手という方はそちらを選択することもできる。

バインディングを提供しているメーカーについてはよくわからず、調べて見つけたメーカーをあげておくので参考にしてほしい。

ブーツ

一番重要なのがブーツ。ここが足と合わないと姿勢を崩しやすく滑りづらい。自分はお勧めされたDEELUXE Track 325を購入した。約10万円。これでも安いほうなのかと思っていたが、G-STYLEはもっと安かった。

今シーズン、ゲレンデでDEELUXEを履いているボーダーを見かけることはほぼなく、よく見かけたのはUPZ。以下にブーツメーカーをあげておくので参考にしてほしい。

ステップイン化することを前提に検討するなら、同じシステムが使えるDEELUXE、UPZから選択しておくといいだろう。

事前のセッティング

この項について、用具を揃えた段階では理解が追い付かない点が多いと思うが、アルパインボードとはこういうものだと思って読んでほしい。いずれ、いろんなアルパインボード系ユーチューバーの動画を視聴しているうちに理解が追い付くと思う。まさに自分がそうだった。

事前のセッティングとして重要なのがバインディングただひとつ。ここを間違えていると、いくら動画や書籍などで謳われる姿勢を真似しようと思ってもできない。セッティング前提が違っているので、真似できなくて当たり前なのだ。

角度(アングル)

足の向きを決めるアングル。

自分は購入時、ショップオーナーから口頭で「〇〇度にしておくね」と言われ、始めたばかりのアルペンボーダーはみんな、そのぐらいのアングルから始めるのだろうと解釈した。

そもそもアングルについてまったく理解しておらず、フリースタイルボードをやっていたときも、購入したときの設定から変更することなく使用していた。だから〇〇度と言われても、それが実際にどのぐらいのアングルなのかわかっておらず、オリンピックのアルペンレーサーたちと同じぐらいのアングルなのだろうと思いこんだ。

ちなみに自分の初期アングルは

  • 前足が約43度
  • 後ろ足が約38度

だった。これからアルパインボードを始めようと考えている方、上記のアングルでは全く足が前に向いていないことをご理解いただきたい。がんばって膝を曲げ、足首をひねり、腰から上の上体を前に向けようと思っても窮屈で維持できない。

一般的に、アルパインボードのアングルは、前足55~60度、後ろ足は前足の-5度で設定するのが基本だそうだ。自分はこれをつい最近、3月も終わりかけのころにJSBA公認デモンストレーターであるプロスノーボーダー青木玲さんの動画で知った。 

そして現在は、前足58度、後ろ足53度に設定している。

リフトアップ

つま先とかかとの上下角度を調整するリフトアップという概念。前述した青木玲さんの動画でたまたま見かけて知った。アルパインボードでは絶対にリフトアップしておくことが前提らしい。

さてリフトアップについて何をすればいいのかというと、前足はバインディングのつま先側に調整部品をかませてつま先側を高くし、後ろ足はかかと側に調整部品をかませてかかと側を高くする。こうすることで、アルパインボードの基本姿勢を取るときに、自然とスネ部分に体重が乗せやすくなるのだ。おそらく、実際に装着前後で確認してみないことにはリフトアップの効用は理解できないと思うので、なんだかわからんけどとにかくリフトアップしておけばいいんだなと覚えておいてもらえると嬉しい。

調整用の部品はバインディングにワンセットだけ同梱されていることが多いようだ。自分のDLX INTEC CONNECTORにもひとつだけ入っていた。したがってもうワンセットをネット通販で調達して取り付けを行った。取り付け前はかなりがんばって膝を曲げて力を入れないとスネに体重が乗らなかったが、リフトアップしたら結構簡単に体重をかけることができた。

身近に経験者がいないと絶対にわからない概念だったと思う。青木玲さんには本当に感謝したい。DLX INTEC CONNECTORに限られてしまうが、部品の取り付け方法は以下の記事を参考にするとよいだろう。

ameblo.jp

カント調整

足を内側に傾けるための調整角をカントと呼ぶ。だいたい3度程度が一般的なようだ。

自分のDLX INTEC CONNECTORは最初からカント調整用の部品が挟まっていたので、特にそれ以上の調整はしていない。カント角度がついていない場合は、なにかしら調整部品が販売されているはずなので、それを調達して取り付けを行ってほしい。

1日滑った後のセッティング

初めてのアルパインボード、いかがだったろうか。スタンスが広い、荷重をかける位置がわからない、といった理解できない難しさがあったのではないだろうか。

滑り方の基本について、文章で説明できるほどの技量を持ち合わせていないので、これについてはYouTubeや書籍等を参考にしてほしい。

さて1日を終え、見直したいセッティングが出てきたかもしれない。自分からはブーツの調整についてセッティング見直しを提案したい。

かくいう自分も、3月中旬ごろまで足首周りがスカスカ状態で滑り続けていて、ブーツサイズがあわないのではないか?足首が細いせいでバックルがあわないのではないか?と悩み続けていた。ショップにブーツを出して、なんらかの調整メニューがあればそれを施工してもらおうと考えていたほどだ。

たまたま訪れていたスキー場の試乗会に、自分が用具を購入したショップが出展していたのでオーナーとお話する機会があり、ブーツがゆるくてどうしたらいいかわからないと相談したところ、いとも簡単に問題を解決してくれた。それを紹介したい。

バックル調整

バックルはねじ式で長さを調整することができる。オーナーに教えてもらった解決方法というのがこれ。

自分のバックルは最大まで伸び切った状態だったので、いくらバックルを一番奥までひっかけてもゆるいままだった。これを締めて短くしたことで、一番奥までひっかけなくてもホールド感を得られるようになった。ただそれでも、何本か滑った後は少しゆるいかな?と感じることはある。

これができること全然わからなくて、教えてもらっている最中はかなり恥ずかしかった。

インソール

別名「中敷き」。オーナーから提案されたゆるみの解決策。

足の甲から足首にかけてホールド感が薄く、スケーティングや滑走時にブーツがスポッと脱げそうな感覚になる方はインソールをいれてインナーに足を密着させるとよい。

インソールを入れてからは、ブーツが抜ける感覚はなくなった。

パワーライド

freeride-powerride.com

ブーツのタン部分、インナーとシェルの間に挟んで使う用具。ショップ店員に教えてもらった。

厚みが増すのでバックルがひっかけづらくなるかもしれないが、その分、ホールド感はかなり増す。足の細い方はこれを入れたほうがよい。

ブーツストラップ

第4バックルがどうしても緩んで外れてしまう方向けの用具。これもショップ店員に教えてもらった。

マジックテープ式、ラチェット式、いくつか種類があるので予算と用途次第で選択するとよい。

おすすめの書籍・動画

書籍や動画について、自分が購入したもの、視聴しているものを紹介したい。

書籍

アルパインボードを取り扱っている書籍やDVDはほぼないに等しい。その中でも以下の2点はアルパインボードを取り扱っている。

日本スノーボード協会および全日本スキー連盟が刊行しているスノーボード本だ。

本の内容について評価すると、SAJ本はクソ中のクソ。はっきりいって誰に向けて書いているのかさっぱりわからない。

しかし安心してほしい!

付録DVDまたはQRコードから閲覧できる動画はとてもわかりやすい。おそらくDVDの内容を文章におこしたのではないかと推測する。映像だと動きが分かりやすいので、滑走技術について理解を深めるのに役立つだろう。

続いてJSBA本。教程という名前を冠しているだけあって、段階的に滑走技術を習得するための練習方法が載っていてとてもよい。スノーボードを学ぶもの、インストラクターとして講習するもの、どちらにとってもメリットのある内容だと感じた。アルパインボード、フリースタイルボード、どちらにも対応しているし、あまり語られることのない基本姿勢についても触れているので、ありがたい一冊となっている。

本だけで済ませたいならJSBA本、映像も欲しいならSAJ本に手を出すとよいだろう。

動画

「Alpine Snowboard」で動画検索したことでちょくちょくおすすめにあがってきた以下のチャンネルをたまに見ている。

 

 www.youtube.com

 

www.youtube.com

どちらも最初はちゃんと見なかった。単なるスノーボードフリークが自己流の滑り方でご高説を垂れているに過ぎないのだろうと思い込んでいたからだ。

しかし青木玲さんをJSBA本で知った時に、ちゃんとした理論に基づいて解説している方なんだと感心し、以降は青木玲さんエビゾウさんのチャンネルは見るようになったというわけだ。

近くにアルパインボードの入り口を教えてくれる人がいないなか、このようなコンテンツを提供してくれる方々には頭が下がるばかり。いつか自分も、誰かにアルパインボードの乗り方について、理論に基づいた教え方ができるようになりたいものだ。

最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。始めたばかりの人にとってはちんぷんかんぷんな点もあったと思います。自分もそうでした。

自分の場合、アルパインボーダーの先生がいるスキースクールに入り、そこでターンの姿勢などを教わったのですが全然ものにできず、腰から前に向くという基本姿勢が取れないありさまでした。数回、同じ先生のもとに通ったのですが、あるときグループレッスンになり、自分と同じく24/25シーズンからアルパインボードを始めたという、スノーボード歴2シーズン目という方と出くわしました。

その方の滑りを見たときに愕然としました。姿勢がきれいなのです。そしてフロントサイドターンがうまい。自分は前を向けずへっぴり腰。上達の限界なのかもしれないと思ってスノーボード自体を辞めようと思いました。でも踏みとどまりました。

なぜ踏みとどまれたのか。それは、たまたま見た青木玲さんの動画で、アルパインボードのバインディングアングルは基本、55度~60度という解説を見たからです。この記事でも触れましたが、なんと最初っからバインディングのセッティングを間違えていたのです。

バインディングのセッティングを変えたところ、なんということでしょう!前は向きやすいしひざは曲げやすい。JSBA本で触れているアルパインボードの基本姿勢を取りやすくなったのです。もし青木玲さんの動画を見ていなかったら永遠に気づかなかったと思います。本当にありがたかったです。

さてこの記事を読んだ皆さんには記事をブックマークしていただき、そのうちアルパインボードの何かで思い出したことがあったら読みに戻ってきてほしいなと思います。購入当初はぴんと来なかった話も、改めて読んでみると腑に落ちるかもしれないからです。

今シーズン残り僅か。ボクも上達できるように頑張ります!これを読んでくれた皆さんもアルパインボードの世界に飛び込んで一緒に頑張りましょう!