サーキット走行デビューしたい人に贈る、サーキットトライアルの始め方
2025年6月8日開催の十勝サーキットトライアルでサーキットデビューを果たしたので、サーキット走行を始めるための知見を共有したい。サーキットトライアルはサーキット走行の勉強になるし、入門にはちょうどよいと思う。
サーキットトライアルとは?
参加者全員サーキット内に入り、決められた時間の中で周回タイムを競う競技。クラス別で走行ではない。したがって、排気量や馬力の違う車両が混走することになる。
同じ「トライアル」がつくダートトライアルは1台ずつ、スタート地点からよーいドンしてゴール地点を目指すが、サーキットトライアルはそうではないので注意。
自分の自動車競技バックグラウンド
自動車仲間いません。
自動車クラブには入会しているが、特定のメンバーやショップと交流があるわけではありません。
ラリー観戦は好きだが、競技経験はないです。
タイヤ交換、オイル交換といった車のメンテナンスはできません。
ど素人が単身、十勝サーキットトライアルというモータースポーツの世界に飛び込みました。
参戦車両
2025年5月18日に納車されたGR86。
納車当日、事前に購入しておいたADVAN TC-4 18x8.5J+ADVAN APEX V601 225/40R18を装着してもらおうと預けたら、リアのホイールがわずかにはみ出して取り付けできないと言われ、愕然としながらも帰り道にスーパーオートバックスでTEIN MONO RACING SPEC Rを発注し、サーキットトライアルまでに無事、取り付けを完了した。
車高調で下げただけでは入らないかもしれない・・・という不安から、イングスのリアフェンダーアーチカバーを取り寄せ、関西ペイントのウレタン塗料で塗装を施し、車体にビス用の穴をあけ、取り付けを行っている。
もしGR86を所有している方がいて、8.5Jは保安基準に適合した状態で入るのかな?と検討しているのであれば、ノーマル車高だと入らないとだけお伝えしておきます。車高下げればギリギリ入った的なことはオートバックスの方から聞いた。
エントリー方法
まずはJAFの競技会カレンダーで、お住まいの地域からアクセスしやすいサーキットで開催予定のサーキットトライアルを探そう。
受付期間というものがあるので、サーキットの公式ウェブサイトや主催者のウェブサイトで詳細を確認し、受付を済ませれば完了だ*1。開催サーキットによっては受付を受理したことを知らせるメールが届くかもしれないし、決済完了通知をもって受付受理としてるかもしれないし、こればかりはサーキットや主催者に聞いてみるしかないので遠慮せずに問い合わせよう。
ちなみに十勝サーキットトライアルは、決済完了通知メールをもって受付受理完了で、書類は開催日の5日前ぐらいに郵送で届いた。
事前に目を通しておく資料
JAFが発行する各種規則の中から、以下の資料を一読しておく。
- JAF国内競技車両規則
- 第3編 スピード車両規定
- 第5編 細則
- レース競技に参加するドライバーの装備品に関する細則
- スピード競技用ヘルメットに関する指導要綱
- アクセサリー等の自動車部品
- FIA公認の競技用シート
細則の中でFIA公認製品の一覧があるが、必ず記載の製品を使用する必要はなく、規格に沿った製品であれば問題ない。
また、サーキットトライアルが特別規則書や競技規則書を公式サイトに掲載しているので、あわせてこちらも読んでおく。
以下は十勝サーキットトライアル Rd.1の公式サイト。ご参考程度に。
持ち物準備
当日までに最低限、以下の装備品を準備する。
あとは長袖長ズボン、くるぶしまで隠れるスニーカーで問題なし。自分は奮発してすべて装備品を用意した。参考までにご紹介したい。
- ヘルメット: アライGP-J3 8859(Amazonで5万円切っていた)
- レーシングスーツ: スパルコCOMPETITION R567(公式アウトレットで半額だったものを購入)
- レーシンググローブ: スパルコLAND+
- レーシングシューズ: スパルコSLALOM+
自分で車の整備はできないが、なにかあったときのためと思って工具は以下のものを用意。
- 空気入れ(自転車に使うような携帯充電式タイプを携行)
- タイヤゲージ(空気圧計測する器具、ブリヂストンレーシングエアゲージを購入して携行)
- トルクレンチ(ホイールナット用、シグネット製を購入して携行)
- ホイルナットソケットセット(アルミホイール用、TONE製プロテクター付の薄形ホイルナットソケットセットを購入して携行)
- ラチェットレンチ(家にあったソケットセットのラチェットレンチを携行)
- ドライバー(家にあったマイナス、プラスを各一本携行)
- 養生テープ、ビニールテープ、はさみ
- ニトリル軍手
ほかの人はフロアジャッキまで持ち込んでいた。あんなクッソ重たいもの持ってくるの?!と驚いたけど、車両全体を持ち上げるわけではないから1t用の軽量タイプを持ち込んでいるらしい。
その他、ピットなどで過ごすためのものとして以下のものを用意。
- 敷物
- 椅子
- キャンプカート(拡げるスペースなくて使わず)
結局工具は使わなかったけど、今後のためにも用意しておくと吉。
車両の装備品
以下の装備品は必須装備かと思っていたが、装備している車両がほとんどいなかった気がするのでなくてもいいのかもしれない。一応、主催者に確認をとってみること。
- 牽引フック
車両規則や車両規定、またはサーキットビギナー向けブログで装着必須的な記載を見かけたので、自分は可倒式牽引フックを前後それぞれ購入した*4。一応どこに記載があったか調べてみたら、スピード車両規定の「 9.2 )けん引用穴あきブラケット」に記載があった。
すべての車両は、前または後にけん引用穴あきブラケットを備えなければならず、ダートトライアル競技に出場する場合は前後とも備えなければならない。
一応材質はスチールと決められているので、ベルト式牽引フックは避けたほうが無難。車種適合しているようならクスコの可倒式牽引フックでいいと思う。
その他、特筆すべき規定装備品はないと思うが、車両規定や特別規則書、競技規則書に目を通して確認しておこう。
当日の流れ
タイムスケジュールは渡されるが、初参加となると要領を得ていないのでどこで何をしたらいいのかわからないと思う。現に自分がそうだった。
以下に大まかな流れを記載しておくので参考にしてほしい。開催サーキットによっては多少の違いはあるかもしれないので、ご了承いただきたい。
到着~荷降ろし
サーキットに到着したらピットまたはパドックを探し、車載している荷物を全部降ろす必要がある。そういうことからサーキットには余裕をもって30分前ぐらいに到着する予定で行動しよう。
ピットやパドックはサーキットトライアルのために全開放しているわけではなく、決められた一部エリアに限定されているはずなので、もし場所が分からないようなら素直に受付に行ってピット番号を聞き出したほうが早い。
荷物はほかの車両の妨げにならないよう隅っこに置くなどして、すべての荷物を降ろし終えたら受付開始時間まで暇をつぶそう。
なお荷降ろしできていない場合、車検場ですべての荷物を降ろす羽目になる。まさに自分がそうだった。降ろしてまた積んで、そうこうしているうちにブリーフィング開始時間が過ぎている!と非常に面倒なことになるので、気をつけよう。
受付~車検
受付から車検までは意外と慌ただしい。
受付を行い、ゼッケンとトランスポンダーを受け取ったら早々に車両に貼り付けよう。ゼッケンは運転席、助手席のドアに養生テープで貼り付け、トランスポンダーはドアポケット内側に養生テープで固定する。
初参加だと余韻に浸りたくなるのだが、そうこうしていると車検時間がやってくるので、時間には気をつけたいところ。
車検の時間がやってきたら車検場に車両を移動する(ついでに装備品点検も行うので、ヘルメットやグローブを提出しよう)。1台5分程度かかるので並ぶことになると思う。なお、車検を受けるときはエンジンを止める必要があるため、手押しで車両を動かす・止める・曲げる練習はしておくといいかなと思う*5。
車検がすんだらピットに車両を持っていくか、またはその辺の駐車スペースに停めてブリーフィング会場へ。
ブリーフィング
コースやフラッグの説明を受ける。
初めてのサーキットだと、フラッグの説明はなんとなくわかるものの、ピットインやピットアウト、ピットロードの走り方や、アタック中はライトを点灯する、ゆっくり走るときはハザードで知らせるといったサーキットルール的な部分は1回聞いただけではなんのこっちゃになるので、この点に関しては実際に走ってみるしかない。
これが終わればいよいよコースインとなる。
慣熟走行~1回目
タイムスケジュールの組み方にもよるが、ブリーフィングが終わってほどなくすると慣熟走行が始まる。コースに慣れるためにセーフティーカーに先導してもらって走行するというやつ。
そして慣熟走行が終わってピットロードに戻り、停車することもなくそのまま1回目のサーキットトライアル開始。慣れなくて怖いと思うが、前方を走る車を参考に走ってみよう。置いていかれるかもしれないが・・・。
所定の時間がくるとチェッカーフラッグが振られるので、慌てず安全にピットインしよう。これで初めてのサーキット走行を経験したので、あなたの競技人生、幕開けです🎉
2回目~車両点検
同時開催の他競技のスケジュール次第となるので1時間後か、2時間後か、はたまた30分後かわからないが、2回目のサーキットトライアルが始まる。十勝サーキットトライアルは1回目終了からおよそ2時間後ぐらいに始まった。
1回目で要領はかなりつかめたと思うので、2回目はガンガンコースを攻めてみよう。遅くたって構わない。ほかの人を妨害しなければいいのだ。ブリーフィングで受けた説明、きっと飲み込めてきたと思う。
存分にタイムアタックできたらサーキットトライアルもそろそろ終わりの時間。お疲れさまでした🎉事前に説明があったかもしれないが、ピットロードから直接、車検場付近まで誘導されると思うので、指示に従い車両保管場所まで移動しよう。
最後は表彰式などがあって解散だ。
終わりに
初めての自動車競技、この経験は他の誰かに伝えなくては!という思いで書いた。自動車競技をやってみたいけど、周りで教えてくれる人がいない・・・とあきらめている方、大丈夫だよ!ある程度はネットやYouTubeで情報を集めればいいし、あとは飛び込んでみたらいいさ。
気さくに話しかけてくれるベテラン競技者やショップ経営者もいたりするし、自分が参加した十勝サーキットトライアルは、20代~60代まで幅広い年齢層の人が参加していた。だから怖がらないで一歩を踏み出してほしい。
車だってなんでもいい。以下のサイトにクラス区分に関する説明があって、きっとあなたが所有する車も該当するクラスがあるはずだ。
サーキット走行、めっちゃ楽しいので、この記事を読んで興味がわいた人は早速、参加受付しよう!